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楽しい時間ほど、あっという間に感じるメカニズム

更新日:2021年1月15日

2021.1.15 ヒポクラ × マイナビ編集部

「世界医療ニュース」の記事の中から、ヒポクラ × マイナビ編集部が「ぜひ読んでほしい」と思った記事を紹介します。今回は「楽しい時間が速く過ぎるのはなぜ? 時間感覚を左右する脳のメカニズムの一端を解明」を取り上げます。(ヒポクラ×マイナビ編集部・金子省吾) 

原題:Why Your Brain’s Sense of Time Is So Elastic

Nautilus


体感時間を縮める鍵はドーパミン

感情を揺さぶる傑作映画、気心の知れた友人との飲み会、恋人との甘いひととき。「楽しい時間はあっという間に過ぎる」とはよく言ったもので、誰もが経験したことがある感覚ではないでしょうか。一方で、劇場に足を運んだことを開始15分で後悔するような映画、飲み会における通算何度目か分からない上司の武勇伝披露(すでにこちらも暗唱できる)、「あれっ、何となく明日振られそう」というなぜかほぼ的中する不安を抱えながら一人過ごす夜など、つらい時間は永遠にすら感じます。


同じ、1分、1時間、1日でも、体感時間に差があるのはどうしてなのでしょうか。本記事ではその原因に踏み込んでいます。


これまでの数十年にわたる研究によると、「脳が時間の経過をどのように捉えるか」の理解には、神経伝達物質のドーパミンが大きな鍵を握っているといいます。複数の研究で、動物はドーパミンの分泌量が増えると、体内時計が進み、より速く時間がたったと錯覚することが示唆されています。


「楽しい時間が速く過ぎる」のではなく、「予想していたよりも楽しい時間」が速く過ぎる?

イスラエルのワイツマン科学研究所の研究者は、「予想外のポジティブなこと」が起きた時にドーパミンの分泌量が増えることを、次の実験で発見したといいます。


被験者の目の前にモニターを設置し、画面に2回続けて数字を映し出します。これを数セット繰り返し、1回目と2回目の数字のどちらが長時間表示されていたと感じたかをセットごとに回答してもらいました。


数字は通常、「0→0」のセットで表示されますが、まれに「0→正の整数」「0→負の整数」というパターンが混ざっています。そして、2回目が正の整数の場合は賞金を与え、負の整数の場合は罰金を支払わせました。


結果として、被験者は2回目が正の整数の場合の方が、表示時間が短かったと感じ、ドーパミンの分泌量も多いことが分かりました。反対に、負の整数だった場合は長く感じていました。


この結果を補足するように、ハーバード大学の認知神経科学者のサム・ガーシュマン氏は「『楽しんでいると時間が速く過ぎる』というのには若干のニュアンスの間違いがあり、正確には『予想していたよりも楽しんでいると時間が速く過ぎる』んだ」と述べています。


それでは、仮に嫌なイベントが控えていたとして、これ以上ないくらいの最悪の状況になることを想定して参加することで、「お、思っていたほど悪くないな」と脳をだまして、体感時間を短くすることは可能なのでしょうか。今度機会があったら試してみようと思います。

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